\歴史と雑学/
果物と野菜に関するなるほどがいっぱい #:164 2013.03.26更新
テリーヌ、パテ、リエット 作り方から見るそれぞれの違い
フレンチのお店でのメニュー選び。未知の味覚との出会いにワクワクですね。でも前菜のリストでいつも戸惑うのがこれです。「テリーヌとパテの違い」、あなたはちゃんとわかりますか?美しい切り口や濃厚な味わいが楽しめるテリーヌとパテ、なんとなく感覚だけで判断していることも多いと思いますが、この際ちょっと追求してみましょう。
テリーヌとパテの違いは、一目でわかるはず…
テリーヌとは、もともと陶製の深い器を意味することば。蓋つきの焼き物用容器(テリーヌ型)に豚の背脂を塗り、肉、魚、野菜などを細かくしたものや、ムース状にしたものを詰め、蓋をしてオーブンで焼いたものです。焼けたら冷まし、一切れずつに切り分けて盛りつけます。
一方、パテの語源はパイ生地で、細かくした肉や野菜類を、うま味が逃げ出さないようにパイ生地で包んでオーブンで焼いたものです。焼き上がりを冷まし、やはり一切れずつに切り分けて盛りつけます。ですからブッフェスタイルのパーティーなどで、オードブルの盛り合わせがあったら、パイ生地に包まれたスライスがパテ、そうでないものがテリーヌというように見分けられます。
しかし最近ではその区別や定義が、どうもあいまいになってきているようです。どちらも古くからある伝統的な料理なのですが、パテはパイ生地ではなく、キャベツや背脂で包んだものでもパテと呼び、テリーヌも、テリーヌ型を使わずに葉野菜やラップなどを使って仕上げたものもテリーヌと呼ぶようになりました。テリーヌ型自体も長方形だけでなく、さまざまな形のものも出現。さらにパテという言葉が「練り物」一般をさす場合にも使われ、パンやクラッカーに塗るスプレッドもパテと表現されているので、ますますややこしいのです。
最近では伝統の型にはまらない料理もふえているので、呼び方はシェフ任せにして、あまりこだわらず美味しさを楽しむことでいいのかも知れませんね。
ついでにリエットのことも知っておきましょう…
パンやトーストに塗って食べるリエットは、フランスの一般的な保存食として親しまれています。でもパテとの違いに悩む人も多いのではないでしょうか。本来のリエットは、肉を脂と合わせてじっくり煮てからすりつぶす調理法が特徴です。豚やガチョウの肉をラードなどでゆっくりと煮てからつぶし、ペースト状にします。それを容器に詰め、表面をラードで覆って熟成させるので、上で説明したような、オーブンを使う本来のパテとは調理法が違います。ただし、パテという言葉を単に「練り物」の表現として使う場合なら、リエットをパテと呼んでも間違いではありませんね。しかしリエットの調理法の定義も変わってきて、いつからかベーストにしたものをリエットと呼ぶようになり、イワシやマグロなどの魚のリエットもメニューにのるようになりました。
食べすぎにはご用心!
いずれの料理も濃厚な味わいが魅力的で、ついお酒もすすむ美味ばかり。でも脂肪分が多く、よく使われるレバー類はコレステロールを多く含むので、食べすぎにはご用心を。とくにビュッフェスタイルのパーティーなどでは、ついついお皿に取りすぎてしまいがちです。
もともとオードブルという言葉は、直訳すれば「作品の外」、つまり「メイン料理以外のもの」という意味なのです。食欲をそそることが目的なので、自然と味つけの濃い料理が並びがちです。野菜やフルーツを使ったお料理もバランスよくチョイスして、パーティーメニューをヘルシーに楽しんでください。