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食育と栄養学

正しい知識でこれからの毎日を楽しく #:102 2010.08.10更新

緑黄色野菜とは?活性酸素から細胞を守るカロテンとクロロフィル

野菜には緑黄色野菜と淡色野菜があります。それでは、具体的にどの野菜が緑黄色野菜かご存じですか?文字通りに緑や黄色の野菜だと思われがちですが、話はそれほど単純ではありません。じつは緑黄色野菜と淡色野菜の違いは色ではなく、含まれるカロテンの量。厚生労働省の基準では、原則として可食部100g当たりのカロテン含有量が600μg以上のものを緑黄色野菜としています。では、そもそもなぜこのような分類をしているのでしょうか。そこには、緑黄色野菜ならではのヘルシー効果が関係しているのです。

カロテンの色素パワーが病気を防ぐ

緑黄色野菜の基準になっているカロテンは野菜や果物の色素成分で、もともと植物が自分の身を守るために持っている成分です。植物は日光を浴び、光合成によってエネルギーを得ています。ところが、日光を浴びると一方で活性酸素が発生し、細胞を酸化して傷つけてしまいます。カロテンはその酸化を防ぐ働き、つまり抗酸化作用を持っているのです。
 カロテンは人の体内でも強い抗酸化作用を発揮し、細胞組織を活性酸素から守ってくれます。活性酸素は老化や生活習慣病、がんなどを引き起こす原因になるので、若さを保ち、病気を遠ざけるためにも、たっぷり摂りたい成分なのです。

鉄やカルシウム、クロロフィルもたっぷり

緑黄色野菜には鉄やカルシウムが多いのも特徴です。これらはいずれも日本人に不足しがちな栄養素なので、その補給源としても緑黄色野菜の役割は大きいのです。さらに、青菜やブロッコリーなどの緑の濃い緑黄色野菜には、緑の色素であるクロロフィルも豊富。クロロフィルもカロテンと同じように、強い抗酸化作用を持つ注目の成分です。
 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、野菜の目標摂取量を1日350g以上とし、このうちの120g以上を緑黄色野菜で摂るように勧めています。つまり、緑黄色野菜は、栄養学や栄養指導の観点から淡色野菜と区別したものなのです。ところが、国民健康・栄養調査(平成21年度)によると、日本人の野菜摂取量は平均295.3g、緑黄色野菜は平均98.4gで、まだまだ足りていません。

緑黄色野菜の仲間いろいろ

緑黄色野菜の仲間いろいろ

それでは具体的に、どの野菜が緑黄色野菜なのでしょうか。緑黄色野菜は確かに濃い緑や黄色の野菜が多いのですが、基準は原則的にカロテンの量。例えばキャベツは淡色野菜ですが、よく似ていても芽キャベツは710μgと基準以上のカロテンを含んでいるので緑黄色野菜です。一方、なすやきゅうりは、皮の色は濃くても実の色は薄く、カロテンは少ないので淡色野菜。また、ねぎや大根、かぶなどは、青い葉の部分はカロテンの多いので緑黄色野菜、白い根の部分は淡色野菜に分類されます。
 例外として、カロテン含有量は基準の600μg以下でも、トマトや青ピーマン、グリーンアスパラガスなどは緑黄色野菜とみなされています。これらの野菜は一度に食べる量や回数が多く、カロテン源として活用できるからです。
 緑黄色野菜をきちんと摂るには、買い物のときから緑黄色野菜を意識して選ぶのがコツ。淡色野菜とバランスよく組み合わせて、緑黄色野菜ならではのヘルシー効果を生かしてください。