オフィスで働く人々にDoleの「もったいないバナナ」をお届けするサービス「オフィス・デ・ドール」。そのサービスを9月から導入したのが、人材サービス事業を展開するディップ株式会社です。「社員幸福度No.1」をめざしているdipは、「もったいないバナナ」にどんな価値を見出したのか? そもそもDoleがオフィスでのバナナ喫食をおすすめする理由とは? ディップ株式会社代表取締役COOの志立正嗣氏と株式会社ドール代表取締役社長CEOの青木寛氏が、狙いや思いを語り合いました。
この方々にお話しいただきました
志立 正嗣(しだち まさつぐ) ディップ株式会社 代表取締役COO
1991年凸版印刷株式会社入社。1998年よりヤフー株式会社にてサービス開発に従事。2012年より同社執行役員に就任し、広告・メディア事業・データ部門の責任者、社長室長、コーポレートグループCIO等の要職を務めた。2017年株式会社IDCフロンティア代表取締役社長に就任。2019年ディップ株式会社社外取締役、2020年同社取締役COOに就任。2022年より同社代表取締役COOに就任。
青木 寛(あおき ひろし) 株式会社ドール 代表取締役社長CEO
1993年伊藤忠商事株式会社入社。食料カンパニーにて、果汁・果実加工品のトレードを担当。ドール、ファミリーマートでビジネス開発・商品開発などに従事した後、伊藤忠商事リテール開発部長を経て、2023年11月株式会社ドール代表取締役社長CEOに就任。
目次
「もったいないバナナ」を通して、社員の健康支援と社会課題解決の両方にアプローチできたら
―まず、dipが「オフィス・デ・ドール」サービスを導入した経緯からお聞かせください。
志立 dipでは今年3月から社内向けに「会社に来よう!」というキャンペーンを展開し、出社を前提とする働き方への転換を呼びかけています。組織コミュニケーションの活性化を図り、「ワクワクしながら組織の力を発揮できるオフィス環境をつくりたい」という想いのもとで、audiobookの導入やウォーターサーバーの設置など出社が楽しくなるような多様な仕掛けを始めて。次は「食事支援」も進めようということで、弊社社長の冨田といろいろなアイデアを話し合っていました。
そんなタイミングでたまたまDoleの青木社長とお会いする機会があって、バナナについて非常に面白い話を聞かせていただいたんです。
青木 Doleの規格外バナナ「もったいないバナナ」の話や、バナナの健康効果について順天堂大学の小林弘幸先生が書かれた本もご紹介しました。
志立 小林先生と言えば「腸活」で有名な方で、僕も以前から大変興味があり、これは面白いと思ったんです。バナナを朝食に食べると免疫力が上がり、精神が安定し集中力が持続することを小林先生は提唱されていますよね。
その後、青木さんから「もったいないバナナ」をお送りいただき、試食がてらdipの社内に置いてみたら大好評! 「これは社員のみんなも喜んでくれそうだ」と思っていたところ、職場で「もったいないバナナ」を提供する「オフィス・デ・ドール」という取り組みもあることを青木さんに教えていただいたんです。
―Doleが展開する「もったいないバナナ」プロジェクトと「オフィス・デ・ドール」について教えていただけますか?
青木 バナナの品質規格は非常に厳しく、中身は美味しく食べられるのに、皮の傷、サイズや形等を理由に大量に廃棄されている現状があります。そんなバナナを救いたいという想いで進めているのが「もったいないバナナ」プロジェクトです。
▶「もったいないバナナ」プロジェクトについて詳しくはこちら!
一方、オフィスに「もったいないバナナ」をお届けする「オフィス・デ・ドール」は健康経営の福利厚生サービスの一つで、1回200kcal以内を目安に間食を摂るというアメリカ発の「ヘルシー・スナッキング」の考え方に基づいています。バナナは1本約93kcalと低カロリーなのに栄養豊富で、脳に糖分を補給できて仕事の効率アップにつながります。
▶「オフィス・デ・ドール」について詳しくはこちら!
志立 私たち経営側からすると、オフィスで社員に食べ物を提供する上で「どんな食品を選ぶか」という点は非常に悩ましい問題で、個人の嗜好を基準にすると「あれがいい」「これがいい」という話になって収拾がつかなくなってしまう。
しかし、私たちが何より大事にしたいのが、「オフィスの環境をより幸せなものに近づけていく」ということです。そういった意味で、SDGsやフードロスに貢献できる「もったいないバナナ」は社員の健康支援と社会課題の解決の両方が実践でき、バナナを社員のみなさんに提供する「必然性」や「意味合い」を明確に位置づけられると思ったんです。
一流エンジニア集団も評価するバナナの栄養効果
―「オフィス・デ・ドール」の導入にあたって、何か社員のみなさんからの反応はありましたか?
志立 実はdipでは今年6月~7月に合計6回の「もったいないバナナ」の試食を行い、アンケートを集計しました。すると、全社の3人に1人が「もったいないバナナ」を利用し、9割以上の人が高評価で、味や見た目も約9割が高評価という見事な結果でした。さらに印象的だったのが、「バナナを利用した目的」として4割近くが「フードロスやSDGsに貢献するため」という点を挙げていたことです。
この結果に僕も改めて、「今の世の中は環境意識が高く、SDGsに貢献する機会を会社が提供することでロイヤリティも高まる」と実感しました。それで「もったいないバナナ」を全拠点で一斉導入することを決めた*んです。
加えて、規格外の「もったいないバナナ」なのに、スーパーで見かける市販品と遜色ないほど美味しいというギャップも社員のみなさんに喜んでもらえたんだと思います。
*ディップ株式会社には、基本的に毎週、1回につき約3,000本の「もったいないバナナ」が届けられている。
青木 これには理由がありまして、現在「もったいないバナナ」で提供中なのはハイランドバナナで、寒暖差の大きい高地で栽培することで糖分に変換されるデンプン質がしっかり蓄えられ、甘味が強いんです。いろいろな企業にサンプル品をお配りしたところ、「バナナってこんなに美味しかったんだ」という声をいただいて私たちも非常に励みになっています。
―「オフィス」という環境で、バナナを食べるメリットとしては具体的にどんなことが考えられますか?
青木 バナナには「トリプトファン」という成分が含まれていて、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌を促して脳を活性化し、気持ちを落ち着かせたり、よく眠れるようにしてくれると言われます。
特に開発職の方にもおすすめです。Doleでは米マイクロソフト社でWindows95の開発に携わったプログラマー・中島聡さんの率いる「シンギュラリティ・ソサイエティ」を通じて、エンジニア集団にバナナをお配りして食べていただいたこともありますが、片手で簡単に栄養補給できて脳の働きを活性化するバナナの良さをみなさんに評価していただいているんですよ。
また、「全国高等学校AIアスリート選手権大会シンギュラリティバトルクエスト2024」にも競技開発パートナーとして参画し、未来のエンジニアにバナナの良さを届けています。
エンジニア職の業務とバナナは栄養補給の仕方として相性がいいので、いろいろな調査や取り組みを進めているところなんです。
志立 「オフィス・デ・ドール」こそ、まさに日本のオフィスの食事支援のスタンダードな形になりそうですね。「もったいないバナナをすべて食べ尽くそう!」というくらいの勢いで広まってほしいです(笑)。
「働く環境」と「地球環境」の持続可能性を1本のバナナから
―「オフィス・デ・ドール」の本格導入にあたって、今後、志立さんがDoleに期待することは何かありますか?
志立 人間というのはどうしてもすぐに“慣れ”が生じるものなので、社員のみなさんにバナナを飽きずに楽しんでもらうためにも、イベント的な変化を企ててほしいです。
それから「もったいないバナナ」を通じてサステナビリティへの意識が高い企業同士がつながるきっかけをつくっていただけると、さらに面白いことになると思ってワクワクしています。
青木 それはいいアイデアですね!「もったいないバナナ」への賛同企業同士でコンソーシアム(共同事業)を企画することにも挑戦してみたいです。
志立 あと、先ほど青木さんが話されていた、腸活や脳の活性化に役立つという栄養面の情報など、「バナナがパフォーマンスを上げる食べ物だ」という認識はまだあまり広まっていないので、Doleさんから積極的にアピールしていただけるとうれしいです。
青木 はい。ドール社の社員は本当にバナナの効果に詳しいんです。たとえばマラソン選手が競技中にバナナを食べるのは、バナナには糖が3種類ほど含まれ、それが時間をかけて順番にエネルギーとなって持久力を維持してくれるからだと社員に教えてもらいました。メジャーリーガーの大谷選手も試合中にベンチでバナナを召し上がっていますよね(笑)。
志立 ところで近年の猛暑や異常気象、急激な円安などで様々な作物のサプライチェーンに異変が生じています。バナナはどうですか?
青木 実はフィリピンで1月に豪雨があり、崖崩れで各地の物流が寸断されて対応に大変苦慮したんですが、その後は一転して降雨ゼロの時期が3か月続いて生育不良のものが増え、近年は特に生産量の予測が非常に難しい状況を迎えています。
一方で、今年後半は大量出荷が見込まれて大幅な価格低下も予想され、こうした諸条件から特に供給の不安定さが増している状況にあり、いわゆる「もったいないバナナ」の規格のものが増えてしまう可能性も高いんです。
Doleでは、バナナやパイナップルの生産拠点であるフィリピン・ミンダナオ島で、農園労働者のために生活インフラを整え、学校や病院など地域のコミュニティをサポートして、地域に雇用を生んできました。また、パイナップルの皮からバイオガス発電も行ってさらなる雇用を生むなど、規格外商品やフルーツ残滓を活用してロスを減らし、SDGsを実践しながら、雇用面での安定化も図ってサステナブルな供給チェーンを維持することをめざしています。
志立 dipでは「Labor force solution company」を企業ビジョンとして掲げて、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現をめざしています。オフィスで「もったいないバナナ」を供給することで社員の幸福度を高める一方で、地球規模のサステナビリティや幅広い課題解決に貢献していけるとうれしいですね!
※本記事の取材は2024年9月2日に行われました。
※記事の情報は2024年12月20日時点のものです。
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