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熱中症予防に! 朝バナナを食べて睡眠改善。しっかり眠って猛暑を乗り切ろう!

毎年のように更新される最高気温。2024年夏も猛暑が予想されています。気温が上がれば熱中症リスクも高まりますが、熱中症予防にはどのような対策が有効なのでしょうか。管理栄養士で理学博士の古谷彰子先生に栄養面の観点からアドバイスしていただきました。

教えていただいたのはこの方
古谷 彰子(ふるたに あきこ)さん

古谷 彰子(ふるたに あきこ)さん
博士(理学)、管理栄養士、アスリートフードマイスター。
愛国学園短期大学家政科准教授、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構・招聘研究員、アスリートフードマイスター専任講師、発酵料理士協会特別講師、ChronoManage代表。「体内時計」と「時間」という観点から、医学、栄養学、運動といった領域にアプローチしている。著書に『食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門』など多数。

近年の猛暑で熱中症患者が急増!

―近年の熱中症の傾向について教えてください。

2023年の6月から8月の平均気温は1898年の統計開始以降最も高くなり、2023年は最も暑い夏になりました。それに伴い、総務省発表のデータによると5月から9月までの熱中症による救急搬送数は2008年以降、2番目に多い結果となりました。

外出の機会が減ったコロナ禍(2019年~2022年頃)には一時減った熱中症による緊急搬送数も、2023年前後からは外出の機会が増え、急激に増加しています。そして2024年夏もラニーニャ現象の影響で、過去1番の猛暑になるのではないかと予測されていますので、熱中症患者数も2023年よりさらに増えるのではないでしょうか。

―熱中症にはどのような症状がありますか?

めまい、立ちくらみ、筋肉のこむら返り、筋肉痛、生あくび、大量の発汗などの症状があります。さらに症状がすすむと、頭痛、嘔吐、虚脱感、倦怠感、集中力の低下、判断力の低下などがあらわれます。

熱中症が疑われる人を見かけたら、エアコンが効いている室内や風通りのよい日陰など涼しいところへ避難させる、衣服をゆるめてからだを冷やす、水分・塩分、経口補水液などを補給させる、などの応急処置を取ってください。

熱中症予防

出典:厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト

自力で水が飲めない、応答がおかしいときはためらわずに救急車を呼ぶことも重要です。

症状の自覚段階は人によって異なりますし、室内にいても熱中症になることがありますから、「気づかないうちに症状が進行している」というのが熱中症の危険性のひとつなのではないかと思います。

熱中症を予防するためには?

―熱中症予防にはどのような対策がありますか?

適切に冷房を使うなどして暑さを避けることは大前提として、まずは水分を摂ること。通常の活動であれば、水をこまめに摂ることを心がけてください。目安としては1時間にコップ1杯(200ml)です。ときたま「水を飲むが苦手」という方がいますが、そういう方はノンカフェインのお茶などを摂ってください。緑茶などカフェインが入っているものは利尿作用がありますが、排出された分をさらに飲めばよいと思います。

塩分に関しては、日本で普通の食事をしていれば必要量は摂取できますので、意識して摂る必要はないと思います。

運動などをして汗をたくさんかいた場合は、塩分と糖分が入っているスポーツドリンクや経口補水液などを利用するのがよいでしょう。水と塩分タブレットなどを併用してもよいと思います。

次に睡眠環境を整えることが大切です。睡眠不足は熱中症になるリスクが高まります。睡眠不足が続くと自律神経のバランスが乱れがちになり、体温調節がうまくできなくなるのが原因です。独立行政法人労働安全衛生総合研究所の論文によると1.5時間睡眠時間が短くなると、翌日の運動での深部体温が上がるという結果も出ています。

しっかり睡眠をとるには、実は朝食を食べることも大切なんです。朝食を「しっかり」食べることで体のスイッチがオンになり、スイッチが入ってから12時間から14時間後に夜よく眠ることができるホルモン(メラトニン)が出てくることが分かっています。また、活動する前に、食事から水分を摂取することができるのもメリットと言えると思います。

夏に摂取すべき栄養素は?

―猛暑を乗り切るために摂取したい栄養素について教えてください。

先ほどお話した睡眠の観点からおすすめなのがトリプトファンです。必須アミノ酸のひとつで、体内では生成できないため、食べ物から摂取する必要があります。

トリプトファンをもとに、神経伝達物質・セロトニンが生成されます。セロトニンは心と体のバランスを安定させる幸せホルモンとも呼ばれていますが、このセロトニンが交感神経を刺激して体がうまく活動できるようにしてくれるのです。さらに夜になるとセロトニンが回収され、脳の松果体(しょうかたい)でメラトニンという睡眠ホルモンに作り替えられることが分かっています。

これがトリプトファンを朝にしっかり摂っておくと、夜によく眠れるようになるというメカニズムです。トリプトファン以外にもビタミンB6もセロトニンの材料になることが分かっています。

バナナには夏の体にうれしい栄養素が豊富!

―トリプトファン、ビタミンB6が豊富な食材について教えてください。

トリプトファンはバナナ、牛乳、肉、魚、卵、チーズなどに豊富に含まれています。トリプトファンは腸から吸収されるので腸内環境を整える必要もあります。腸内環境改善には、善玉菌のエサになる水溶性食物繊維が必要ですが、バナナには水溶性・不溶性、両方の食物繊維も豊富なんです。

ビタミンB6はやはりバナナに多く含まれています。バナナの他にもプルーン、大豆、ニンニク、カツオなどが挙げられます。

バナナの栄養

熱中症予防に効果的なバナナの食べ方は朝バナナ+α

―熱中症予防に効果的なバナナの食べ方を教えてください。

トリプトファン、食物繊維、ビタミンB6が豊富なバナナはやはり朝に食べることで、夜の睡眠改善につながります。

先ほどお話しした通り、栄養バランスの整った朝食に、バナナ+ヨーグルトをプラスするのがおすすめです。朝食で食べきれない場合は10時のおやつにもいいですね。

バナナヨーグルト

朝食をあまり食べられない人は、バナナヨーグルトに栄養バランスがよいフルーツグラノーラなどをプラスしてみてはいかがでしょうか。

※記事の情報は2024年7月26日時点のものです。