フルーツ・果物は太る?

果物・フルーツの栄養について

太りやすい?夜食べるのはよくない?

果物・フルーツの栄養について

「果物は太りやすい」「果糖を夜に摂るのはよくない」などの
話をきいたことはありますか?

果物は私たちの身体をつくるために、
必要な栄養素が豊富に含まれる、自然からの恵みです。
安心して毎日の食事に取り入れるために、
フルーツの栄養について知っておきましょう。

果物の栄養の前提知識

果物の栄養の前提知識

果物の80~90%は水分でできていることが多く、ブドウ糖や果糖などの糖質を含みます。また、「身体の調子を整える」のに必要な、ビタミン・ミネラル・食物繊維などの重要な供給源です。酸味は食欲増進、消化吸収の促進に有効です。
日本人の健康増進のための「食事バランスガイド」(厚生労働省・農林水産省)では、健康のために果物を1日に約200g食べることを示しています。
果物に多い栄養素とその働きは次の通りです

果物に多い栄養素とその働き

糖質 ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ショ糖(スクロース)
ショ糖は、ブドウ糖と果糖の二つの単糖でできていて、「砂糖」と同じ構成です。
ショ糖の甘さを100%としたとき、ブドウ糖は60~80%、果糖は120~150%の甘さといわれています。
果糖は、冷やすことで甘みを強く感じます。果物を冷やすと甘く感じるのは、このためです。
ビタミンC 抗酸化作用。身体のタンパク質であるコラーゲン生成に必要。植物性食品からの鉄吸収を促進。
カリウム 細胞の浸透圧の調整作用。摂りすぎたナトリウムを体外へ排出。神経の伝達、筋肉の収縮、血圧の調整。
有機酸 胃液の分泌を促進し消化を助ける。食欲増進。
食物繊維 水溶性食物繊維:急激な血糖値の上昇を抑制。血圧上昇を抑制。
不溶性食物繊維:腸の蠕動運動を促進。便量の増加。腸内の有害物質を吸着する。
たんぱく質分解酵素 パイナップル、キウイフルーツ、マンゴーなどに含まれる、たんぱく質の消化を助ける酵素。
果糖は太りやすい?控えた方がいい?
バランスのよい食事の中で、適量摂取(1日200g)であればOK!

ブドウ糖と果糖は、どうやってエネルギーになるのか

果物の主な糖質である、ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)は、同じ単糖類でも吸収と代謝の仕方が違います。
ブドウ糖は、小腸から吸収されて血液に入り、血糖値が上昇すると、すい臓から出るホルモン(インスリン)の働きにより、身体の細胞に取り込まれてエネルギーとして利用されます。

一方、果糖は、小腸から吸収され、ほとんどが肝臓で代謝されてエネルギーとなるため、血糖値を上げにくいという特徴があります。どちらも、過剰に摂取して使われなかった分は、中性脂肪となって蓄積しますが、ブドウ糖が全身の脂肪として蓄積されるのに対して、果糖は、主に肝臓に脂肪として蓄積されるという違いがあります。

ブドウ糖 血液中に入り血糖値を上昇させる。血糖値を下げるホルモン(インスリン)が働いて血糖値を下げ、エネルギーとして全身で利用される。使われなかった分は、中性脂肪となって貯蓄される。
果糖 ほとんどが肝臓で代謝されてエネルギーとなるため、血糖値を上げにくい。
使われなかった分は、肝臓で中性脂肪になる。

果糖が太りやすいといわれるのは、ブドウ糖のように血糖値が上がらないため、満腹感を得にくく食べ過ぎてしまうことや、摂りすぎた果糖が肝臓に脂肪として蓄積し脂肪肝になるリスクも上がることが考えられるからです。

果糖は太りやすい?控えた方がいい?

しかし、果物は、主食・主菜・副菜・乳製品がそろったバランスの良い食事に加えて、1日の摂取目安200g程度の摂取であれば、太りすぎることはありません。なぜなら、果物の多くはその80~90%が水分で、糖質の他にも、血糖値の上昇を抑え、腸内環境を整える食物繊維、身体に必要なビタミン、ミネラルも含まれるからです。1日の摂取目安200gを2~3回に分けて食事や間食として食べましょう。

夜に果物を食べると太る?
果物に限らず、就寝前に食事をすることが続くと、肥満の原因に!

夜は日中に比べて活動量が減ることと、睡眠中の胃腸の負担を軽減するために、寝る3時間前までには食事を終わらせましょう。また、果物に限らず、食べ過ぎは肥満の原因になります。果物には、ブドウ糖や果糖などの糖質も含まれますが、その多くが水分なのに加えて、食物繊維も多く含まれます。就寝前に食べたとしても、菓子類、穀物類よりもエネルギーが低いのが特徴です。

木内 苑子

監修:木内 苑子

大妻女子大学管理栄養士専攻を卒業後、管理栄養士免許を取得。
現在は、織田栄養専門学校で講師を務める。
専門分野は、調理学(調理科学)・調理実習・給食実習。

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